Nick Goold
次の米国中間選挙は、2026年11月3日に行われます。選挙結果は税制や政府支出、企業への規制を左右し、為替や株式、ゴールドにも影響する可能性があります。2014年、2018年、2022年の選挙を振り返ると、当時の値動きの理由や、今回注目すべき点が見えてきます。いずれの年も、インフレや金利、中央銀行の判断が相場を大きく動かしており、選挙結果だけで判断しないことが大切です。
米国中間選挙とは?
中間選挙は、大統領の4年間の任期の中間に行われます。下院の全435議席と上院の約3分の1が改選され、多くの州でも公職者を選ぶ選挙が行われます。大統領は引き続き在任しますが、議会の多数派が変わると、税制や政府支出などに関する法案の通りやすさが変わります。
中間選挙では大統領の所属政党が下院の議席を減らすことが多く、市場があらかじめ予想している場合もあります。相場にとって重要なのは、結果が予想とどれほど違うか、そして今後の政策に何が変わるかです。
なぜトレーダーは選挙結果に注目するのか?
現時点では、民主党が下院の多数派を奪い、共和党は上院で僅差の多数派を維持する可能性があると予想されています。出典:politicalsciencenow.com。トレーダーは結果が予想どおりになるか、またトランプ大統領の政策にどう影響するかに注目しています。予想外の結果や、接戦の決着に時間がかかる場合には、値動きが大きくなる可能性があります。
2014年 選挙前から中央銀行が相場を動かしていた
11月4日の選挙では、共和党が上院の多数派を奪い、下院でも議席を増やしました。これにより上下両院を共和党が握り、民主党のオバマ大統領は、残り2年間の任期中に重要な法案を成立させるため、共和党の協力が必要になりました。
市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)による債券購入策の終了と、日本銀行による追加金融緩和にも注目が集まっていました。どちらも選挙直前に発表されました。
選挙前の1週間:
為替:ドル円 +5.0%;ユーロドル −1.5%。
株価指数:ダウ +2.2%;S&P 500 +1.4%;ナスダック +1.3%;日経平均 +10.0%。
ゴールド:−4.8%。
選挙から1週間後:
為替:ドル円 +1.2%;ユーロドル −1.0%。
株価指数:ダウ +1.3%;S&P 500 +1.4%;ナスダック +0.8%;日経平均 +1.6%。
ゴールド:−1.5%。
選挙から1か月後:
為替:ドル円 +5.5%;ユーロドル −1.0%。
株価指数:ダウ +3.0%;S&P 500 +3.0%;ナスダック +3.2%;日経平均 +6.1%。
ゴールド:+3.0%。
主な値動きの理由は?
共和党が議会を握ったことで、オバマ大統領は野党の協力なしに大規模な歳出や税制の変更を進めにくくなりました。ただ、相場を動かす要因としてより明確だったのは、FRBと日銀の政策の違いです。これが選挙前のドル円と日本株の上昇を後押ししました。ゴールドは当初、ドル高とともに下落しましたが、その後1か月で持ち直しました。
2018年 選挙直後の上昇は続かなかった
11月6日の選挙では、民主党が下院の多数派を奪い、共和党は上院の多数派を維持しました。共和党による上下両院の支配が終わり、トランプ大統領は新たな法案を成立させるうえで、民主党の協力を得る必要が増しました。
市場は10月の株価急落を経て選挙を迎えました。投資家はFRBの利上げや米中貿易摩擦を懸念していました。
選挙前の1週間:
為替:ドル円 +0.5%;ユーロドル +0.4%。
株価指数:ダウ +3.1%;S&P 500 +2.7%;ナスダック +3.0%;日経平均 +3.2%。
ゴールド:+1.2%。
選挙から1週間後:
為替:ドル円 +0.5%;ユーロドル −1.1%。
株価指数:ダウ −1.4%;S&P 500 −1.2%;ナスダック −2.4%;日経平均 −1.5%。
ゴールド:−3.0%。
選挙から1か月後:
為替:ドル円 −0.8%;ユーロドル −0.3%。
株価指数:ダウ −2.7%;S&P 500 −2.2%;ナスダック −2.5%;日経平均 −2.9%。
ゴールド:+0.1%。
主な値動きの理由は?
上下両院で多数派が分かれたことで、共和党による追加減税や既存の法律の大幅な変更は実現しにくくなりました。結果がほぼ予想どおりだったことや、大きな政策変更の可能性が低下したことを市場は好感し、選挙直後に株価は上昇しました。ただ、FRBの利上げや貿易摩擦への不安は残り、上昇は続きませんでした。
2022年 選挙後すぐにインフレ指標が注目の中心に
11月8日の選挙後、共和党は下院で僅差の過半数を確保し、民主党は上院の多数派を維持しました。共和党の議席増は一部の予想ほど大きくありませんでしたが、バイデン大統領は上下両院で多数派が異なる議会に向き合うことになりました。
投資家は政府支出への影響を見極めようとしていましたが、高インフレやFRBの急速な利上げも引き続き大きな懸念でした。
選挙前の1週間:
為替:ドル円 −1.8%;ユーロドル +2.2%。
株価指数:ダウ +1.6%;S&P 500 −0.7%;ナスダック −2.5%;日経平均 +0.7%。
ゴールド:+1.1%。
選挙から1週間後:
為替:ドル円 −4.1%;ユーロドル +2.8%。
株価指数:ダウ +1.3%;S&P 500 +4.3%;ナスダック +7.0%;日経平均 +0.4%。
ゴールド:+6.2%。
選挙から1か月後:
為替:ドル円 −6.1%;ユーロドル +4.6%。
株価指数:ダウ +1.9%;S&P 500 +3.5%;ナスダック +4.4%;日経平均 −1.1%。
ゴールド:+6.7%。
主な値動きの理由は?
共和党が下院を握ったことで、バイデン大統領は新たな大規模歳出策を進めにくくなりました。ただ、共和党の勝利は一部で予想されていた圧勝には届かず、結果だけでは相場の方向は定まりませんでした。その2日後、米インフレ率が予想を下回ると、FRBが利上げペースを緩めるとの期待が高まりました。米国債利回りとドルが下落し、米国株とゴールドの上昇を後押ししました。
過去の中間選挙から何を学べる?
政府の判断は経済や企業、投資家の心理に影響するため、政治は相場にとって重要です。ただし、選挙が行われるときの状況は毎回異なります。同じ政党が勝っても、市場の予想やほかの材料によって反応は変わります。
予想どおりの結果なら値動きが限られることもありますが、予想外の結果は政策への見方を変える可能性があります。過去の中間選挙でも、金利やインフレ、雇用指標、中央銀行の判断が、選挙そのものより大きな影響を与えることがありました。過去と同じ値動きを決めつけず、選挙と経済の両方を見ておくことが、トレードの準備につながります。

