Nick Goold
夏は金融市場全体として比較的落ち着きやすい時期ですが、それはトレードチャンスがなくなるという意味ではありません。USD/JPY(ドル円)は、日本・欧州・米国で夏休みを取る市場参加者が増えることから、8月は年間でも比較的値動きが小さくなる傾向があります。一方で、市場参加者が少ない時期は、予想外のニュースに相場が大きく反応しやすく、通常以上に大きな値動きとなることもあります。
2026年は例年とは異なる展開になる可能性があります。為替介入への警戒感や各国中央銀行の金融政策への見方の変化、日本経済への懸念などが重なり、例年以上にボラティリティの高い8月となるかもしれません。
USD/JPYの夏相場の傾向
過去のデータを見ると、7月は年間平均よりも活発に動く一方、8月は比較的落ち着いた値動きとなる傾向があります。
USD/JPYの月間平均値幅は518pipsです。7月の平均値幅は581pipsと年間平均より約12%大きくなります。一方、8月は465pipsとなり、年間平均より約10%小さくなります。
7月は夏休みシーズンが本格化する前のため、多くの市場参加者が通常どおり取引を行っています。日本でも、お盆休みは8月に集中することが多いため、7月は比較的取引が活発になりやすい時期です。
一方、8月中旬のお盆期間には日本企業の営業活動が落ち着き、ロンドンやニューヨークでも多くの機関投資家が夏季休暇に入ります。市場参加者が減ることで、日々の値動きは通常より小さくなることが多くなります。
また、USD/JPYには8月特有の明確な季節的トレンドはありません。この時期に毎年必ず上昇・下落するような要因はなく、相場は主に経済指標や中央銀行の政策、予想外のニュースによって動きます。
2026年8月は例年と違う可能性
通常、8月はドル円が落ち着きやすい時期ですが、2026年は例外となる可能性があります。為替介入への警戒感や中央銀行の政策見通しの変化、日本経済への懸念などが重なり、例年以上に大きな値動きとなる可能性があります。
為替介入の可能性
今年のUSD/JPYは、米国の金利が日本より大幅に高いことを背景に大きく上昇しました。その結果、多くの投資家がドルを買い、円を売る流れが続き、ドル円は約40年ぶりの高値圏まで上昇しました。また、日本政府の財政状況への懸念も円安要因となっています。
日本政府は、急激な円安が進んだ場合には為替介入を行う姿勢を示しています。今年前半にはUSD/JPYが160円を超えた後、円買い介入が実施されたと報じられ、一時的に大きく下落しましたが、その後は再び上昇しました。
7月末にも同様の動きが見られました。USD/JPYが163円を超えた後、為替介入観測を背景に2日間で約600pips下落しました。また、この動きには米国当局も関与した可能性があるとの見方もありますが、正式には確認されていません。加えて、米国の弱い経済指標や、FRBと日銀がともに政策金利を据え置いた後の利益確定売りも下落要因となりました。
上昇トレンドが続く可能性
為替介入によって短期的に大きく下落することはありますが、ドル円の上昇を支えている根本的な要因は変わっていません。米国の金利が日本より高い状況が続く限り、ドル買い需要は引き続き支えとなる可能性があります。
流動性の低下で値動きが大きくなる可能性
8月は夏休みの影響で市場参加者が少なくなります。通常は値動きが小さくなりますが、市場の流動性が低下することで、経済指標や為替介入、予想外のニュースによる値動きが普段以上に大きくなる可能性があります。
トレードアイデア
短期トレーダー
大きなニュースがない日は、8月はレンジ相場になりやすい傾向があります。そのため、サポート付近で買い、レジスタンス付近で売るレンジトレードを考えるトレーダーもいます。経済指標や為替介入など、次の大きな材料が出るまで待つ戦略です。
為替介入が起きた場合は戦略が変わります。底値を狙うのではなく、急落が落ち着き、相場が安定してから買いを検討するトレーダーが多くいます。サポートで下げ止まり、再び上昇し始めれば、長期的な上昇トレンドへの回帰を期待する考え方です。ただし、介入後は値動きが非常に大きくなるため、ポジションサイズを抑え、リスク管理を徹底することが重要です。
スイングトレーダー
スイングトレーダーには大きく2つの考え方があります。
1つ目は、長期トレンドに沿って押し目買いを狙う方法です。介入による下落を待ち、相場が回復し始めたところで買いを検討します。米国の高い金利が続く限り、介入は一時的な調整と考える見方です。
2つ目は、介入後の戻りを待って売りを狙う方法です。ドル円が再び高値圏へ戻れば追加介入が行われる可能性や、今回の介入が長期トレンド転換の始まりになる可能性を考える戦略です。
どちらの戦略にもチャンスがあります。大切なのは、相場の方向性が見えてから行動することであり、値動きを予想しようとしすぎないことです。
8月に注意したいリスク
8月は比較的落ち着きやすい時期ですが、注意すべきリスクもあります。
ニュースによる急変動
市場参加者が少ないため、重要な経済指標や為替介入によって通常より大きな値動きになる可能性があります。
値動きが小さい日が続く
ニュースが少ない日は値幅が非常に小さくなることがあります。無理にトレード回数を増やさないことが大切です。
為替介入のタイミングは予測できない
日本政府は介入を事前に発表することはほとんどありません。多くの経験豊富なトレーダーは、介入を予想するのではなく、実際の動きを確認してから対応しています。
リスク管理のポイント
- ボラティリティが高い時はポジションサイズを小さくする。
- すべてのトレードで損切りを設定する。
- 介入後の急な値動きを追いかけない。
- 値動きが小さい日は焦ってトレードしない。
- トレード回数よりも質を重視する。
この夏のUSD/JPYトレード戦略
例年8月はUSD/JPYが落ち着きやすい時期ですが、2026年は状況が異なる可能性があります。米国の高金利がドル円を支える一方で、追加の為替介入が行われる可能性もあり、大きな値動きには引き続き注意が必要です。静かな相場の日もあれば、介入や重要な経済指標によって一気にボラティリティが高まる日もあるでしょう。
焦って値動きを予想するのではなく、明確なトレードチャンスを待つことが大切です。短期トレーダーは介入後の値動きが落ち着いてからチャンスを探し、スイングトレーダーは押し目買いを狙うか、トレンド転換のサインを待つかを判断すると良いでしょう。どのような戦略でも、この夏はリスク管理と規律あるトレードが成功への鍵となります。
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